Environment

持続可能な農業の実践に際する有機肥料の評価

有機農業は環境に配慮した技術や資材を用いた農法として注目され、導入に取り組む事業者も増えています。一方で、様々な観点から検討すると、やり方によっては懸念すべきリスクやデメリットがあることが伺えます。本記事では有機農業の特徴の1つである有機肥料に焦点を当て、環境を始めとする複数の観点から有機農業の影響について紹介します。

農業における持続可能性の重要性

持続可能な農業への関心の高まり

近年、持続可能な社会づくりへの関心が国内外で高まっています。2006年に閣議決定された第3次環境基本計画において、持続可能な社会は「健全で恵み豊かな環境が地球規模から身近な地域までにわたって保全されるとともに、それらを通じて国民一人一人が幸せを実感できる生活を享受でき、将来世代にも継承することができる社会」と定義されています(*1)。

また、環境省はこの持続可能な社会の実現にあたり、人間活動により排出される汚染物質量が、大気や水、土や生物などで構成される自然のシステムの処理能力の範囲を超えないようにすることが不可欠であると述べています(*2)。

しかしながら、世界レベルで見ても人間活動由来の二酸化炭素排出量は、森林等による二酸化炭素吸収量を超えてしまっているのが現状です。

世界全体の陸上の生態系(森林や草原、農地など)は、年間約31億トンの二酸化炭素を吸収していると見積もられていますが、2020年における世界の二酸化炭素排出量は、約314億トンであり、約283億トンもの二酸化炭素が自然のシステムで処理しきれていない状況です(*3)(*4)。

二酸化炭素を始めとする温室効果ガス(Greenhouse Gas:温室効果ガス)(以下GHG)は、大気を構成する成分のうち温室効果をもたらすもので、二酸化炭素やメタンなどが当てはまります。これらは太陽から放出される熱を地球に閉じ込めることで、地表の温度を高める働きがあります。そのため、地球温暖化をもたらす原因物質であるGHGは、自然システムの処理能力を考慮すると、その排出削減が急務となっています(*5)。

そこで、欧州委員会は、2020年5月に欧州グリーンディール政策を発表し、2050 年までに域内の二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス排出量実質ゼロという目標を掲げました。

本政策の根幹をなす「Farm to Fork 戦略」(以下「F2F 戦略」)は、公正・健康・環境に配慮した食料システムの構築を目指すものであり(*6)、1次産業全般に関わると共に、生産から消費に至る食料システム全体を網羅する射程の広い戦略です。ここでは、政策課題として「食料生産の持続可能性確保」が掲げられており、今日農業分野においても、持続可能性の追求が求められています(*7)。

慣行農業の懸念点

従来行われてきた慣行農業は、 病虫害の駆除・防除および除草のために農薬を使用し、生育促進や収量増加のために化学合成肥料を用いています。こうした栽培技術は効率的な作物生産を可能にし、農家の生計維持や、消費者に優しい安価な農作物の提供等に貢献してきました(*8)。

一方で、慣行農業は環境負荷が相対的に高く、継続を懸念すべき農法であることも明らかになっています。

例えば、慣行農業の特徴である化学肥料や農薬に含まれる多くの化学物質は、自然環境に対し様々な環境負荷を与えています。

肥料や農薬の使用がなされた土壌は、化学物質の毒素で汚染され、栄養分が不足します。すると、使用可能な土地が希少になるだけでなく、そのような養分が枯渇した土地の回復に用いられる化学肥料の使用量も増えます(*9)。

化学肥料は製造時に大量のエネルギーが必要です(それぞれの化学肥料1kgの製造に、窒素肥料は約17,600kcal、リン肥料約3,200kcal、カリ肥料約2,200kcalものエネルギーが必要です) (*10)。そのため、エネルギーを得るために化石燃料を大量に燃焼する必要がありますが、燃焼にはCO2排出を伴います。したがって、化学肥料の製造は潜在的に地球温暖化の促進にも寄与していることになります(*11)。

こうした側面を踏まえると、慣行農業は経済的なコストがかかるだけでなく、環境にも負荷をかけ続けており、長期的には環境負荷の更なる低減が求められる農法であると言えるでしょう。

環境保全型農業の利点

そこで、日本国内では1992年より環境保全型農業の実践が推進されるようになりました(*12)。

農林水産省の定義によれば、環境保全型農業とは「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」を指します(*13)。

具体的な取り組みとしては、以下のような農法が挙げられます。

・カバークロップ(緑肥):緑肥を栽培し、その土地を耕すときに一緒に混ぜることで天然の肥料とし、化学肥料の使用を控える農法

・堆肥の施用「炭素貯留効果の⾼い堆肥の⽔質保全に資する施⽤」:主作物の栽培期間の前後に堆肥を施用する取り組み(堆肥とは、枯れ草や枯れ葉、藻類などの植物、また鶏ふんや牛ふんなどの家畜のふんを堆積し、微生物により完全に分解された肥料のことを指しますが、この取り組みでは鶏ふんなどを主原料とする堆肥は除外されます。)(*14)

・有機農業:1)化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない2)遺伝子組み換え技術を利用しない3)農業生産に由来する環境への負担をできる限り低減する生産方法を用いた農業(*15)

このように、一口に環境保全型農業と言ってもその形態は様々です。その中でも、土壌の長期的な持続可能性を維持し、再生不能な資源の使用を最小限に抑えることを目的とした有機農業は、包括的な環境保全へのアプローチを図ることができる農業として、昨今注目を浴びています。

そこで、本記事では有機農業に焦点を当て、それが環境保全の文脈で果たしている機能や懸念事項について検討していきます。

GHGの観点における有機農業の評価

環境の質を定量的に評価する尺度となる環境指数の1つとして、一般に馴染みのあるものは、冒頭でも登場したGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)ではないでしょうか。

GHGは、先述の通り地球温暖化をもたらす原因物質として、その排出削減が急務となっています(*16)。

ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)(*17)によると、有機農業では、慣行農業と比較するとGHG排出量を農作物で最大20%、畜産物で最大4%削減できることが明らかになっています。有機農業に完全移行し、窒素肥料の使用を控えることで、農業で直接排出されるGHGの量を削減することができます(*18)。

しかし、有機農業では同時に生産量の減少が起こることから、より多くの生産地が必要となるため、結果として温室効果ガスの排出量は増加するという研究論文も発表されています。

有機農業では、場合によっては慣行農業に比べ生産量が最大40%減少してしまいます。これは慣行農業において、大量の農薬や農業機械の使用により、高い作物収量の達成が可能となるためです。それに対し、有機農業は投入資材の使用量が少なく、その分作物収量も低いという特徴があり、生産量の穴埋めとして、より多くの生産地が必要となります(*19)。

そのため、有機農業の土地単位当たりの環境負荷は、慣行農業に比べ低いとされている一方、生産物の単位に関しては、有機農業の方がより環境負荷が大きいと考えられています(*20)。

このように、有機農業というだけでは必ずしもGHG削減に貢献しているわけではないというのが実情です。

生物多様性など有機肥料の使用における環境負荷の評価

有機農業の特徴には、有機肥料の使用や天然由来の成分で構成されている農薬の使用等が挙げられますが、今回は有機肥料の使用という特徴に焦点を絞り、それが持つ環境に対する諸影響についてまとめていきます。

潜在的な効果

有機肥料使用がもつ潜在的な効果は、主に以下に記す3点です。

1. 土壌改善効果

1つ目は土壌改善効果です。有機肥料は、土の中の微生物の餌(エネルギー源)となるため、土壌の微生物活性や種類の増加、更には農作物が育ちやすい土壌の育成が期待できます。

有機肥料は窒素の溶脱、リン酸の固定といった養分の損失を抑え、作物の養分利⽤率を向上させるため、⼟壌肥沃度を高めてくれる効果があります(*21)

また、微生物によって分解されなかった有機物の一部は土壌に残り、団粒形成を促進させる役割を果たします。その結果、土壌の通気性や保水性等の向上に繋がります(*22)。

このように有機肥料は、化学肥料と比べてはるかに土壌改善効果が高いことが明らかになっています。

2. 人体への影響

2つ目は人体への健康被害の低減です。化学肥料に代わり家畜糞堆肥等の有機肥料の普及を促し、化学肥料の使用量を削減すると、土壌へのカドミウム(Cd)の投入量が抑制され、結果として土壌中や葉菜類可食部のCd濃度が低減したことが明らかになっています(*23)。

カドミウムとは、亜鉛や水銀等とともに第12族元素(亜鉛族元素)の1つで、人体に有害な物質です。日本では骨が脆くなるイタイイタイ病を引き起こすことで知られています。

カドミウムとその化合物は、国際がん研究機関(IARC)によって発がん性物質に分類されていますが、カドミウムは一度摂取すると生物の体内に蓄積され、人体では約30年も残留すると言われています。このため、食物連鎖によってカドミウムが濃縮されると、人間を始めとする生物は長期にわたりその毒性に晒される危険があります(*24)。

そのような危険物質を削減できる点においては、有機肥料は化学肥料に対し安全であると言えます。

3. 生物多様性

3つ目は生物多様性への貢献です。有機肥料を使用する有機農業は、慣行農業に対し生物多様性の観点から優位だと言われています。

豊かな生物多様性は、害虫の制御、昆虫による果実の受粉、更には有機物の腐植分解など、人間の生命維持に関わる自然のプロセスを保つために必要不可欠です。したがって、生物多様性の喪失は、環境にとって深刻な影響を及ぼすだけでなく、社会全体にとっても大きな負担となります

具体的には、主なリスクとして下記2点が挙げられます。

1つ目は温暖化の加速です。森林は二酸化炭素を吸収してくれる生態系です。つまり、森林における生物多様性が減少することで、二酸化炭素を吸収する自然システムが機能しなくなり、温暖化を加速させます。

2021年に発表された国際研究グループの論文によると、樹木の多様性損失を防ぐことができた場合、将来予測される森林の炭素吸収機能の損失の9~39%を回避できることが明らかになりました。つまり、樹木多様性を確保することができれば、森林の炭素吸収機能は維持され、温暖化の抑制を図ることが出来るのです(*25)。

この研究結果から、生物多様性と温暖化は深く関わっており、その多様性が果たす機能が如何に重要であるかが伺えます。

2つ目は人間の健康への影響です。例えば、人間に欠かせない淡水は、湿地が持つろ過や浄化機能によって供給されます。また、人間の健康をサポートする医薬品の成分には、約5〜7万種もの植物が関わっています。更には、栄養価の高い農作物の製作には、多様な微生物が生息する質の良い土壌が不可欠です(*26)。今日様々な形で人間の生活を支えている生物多様性の損失は、人間の健康に対してもネガティブな影響を及ぼします。

従来の産業的で極度に集約的な慣行農業は、2008年以降スロベニアで確認された農鳥類の減少や、生物多様性の減少を引き起こしており、世界貿易機(WTO)は、過去100年間に75%、EUにおいては90%もの農作物の品種が消失したと指摘しています。

一方、有機農業研究所(FiBL)によると、有機農業が行われている農場では、慣行農業が行われている農場に比べ、生息する生物種は30%、個体数は50%多いことが明らかになっています(*27)。

EU議会においても2011年に生物多様性の損失及び生態系の劣化を防ぐことを目的とした「2020年までの欧州連合(EU)生物多様性戦略」を採択され、生物多様性の保全は今日の世界における重要課題の1つになりつつある中で、有機農業は生物多様性の保全に寄与できる点からも、従来の慣行農業に代わり実践されるべき農法であると言えます。

以上の土壌改善効果、カドミウム含有による人体リスクの低減、生物多様性の保全の3点が、有機農業における代表的な利点となります。これらを踏まえると、有機肥料は化学肥料に代わり率先して導入されるべきであるように感じられます。

しかしながら、有機肥料は、使用にあたりいくつか懸念事項もあります。

潜在的なリスクとなる場合

ここでは有機肥料の使用が場合によってはリスクとなり得るいくつかの側面についてご紹介します。

1.人体へのリスク

1つ目は人体への健康リスクです。前述の通り、有機肥料は発がん性物質であるカドミウム濃度の削減に貢献しますが、場合によっては同時に他の懸念すべき人体へのリスクが伴うこともあります。

1.1. 抗生物質

1つ目は抗生物質の影響です。近年注目されている取り組みとして、食品・畜産の廃棄物のリサイクルのために、これら廃棄物を有機堆肥化し、有機肥料として利用する取り組みがあります。こうした取り組みは省エネ・リサイクルの観点からは、好ましいと言える一方で、家畜の餌などに頻繁に添加されている抗生物質の存在には注意を払う必要があります。

抗生物質とは、バクテリアなどの細菌の感染を止める、または抑える役割を持つ医薬品を指します。厳密には細菌を殺す、または増殖を妨げることで体内での感染拡大を止めるもので、基本的にそのような働きを持つ薬は全て抗生物質とされています(*28)。

一見、抗生物質の使用は家畜の病気の予防を可能にする点で理にかなっているように感じられます。しかしながら、病気の予防を目的とした抗生物質の投与は、病気にかかっていない動物へ抗生物質を過剰投与することになるため、その抗生物質に耐性をつけたバクテリア(耐性菌)の発生を招く危険性があります。このような耐性菌が人に感染すると、治療や拡散の抑制が難しい伝染病が発生する可能性が出てきます(*29)。

耐性菌が実際に発生した抗生物質の事例として、コリスチンが挙げられます。コリスチンは、複数の抗菌薬に耐性を持つ多剤耐性菌に対する治療薬の1つとして、医学界から重宝され、人々の感染症の治療に用いられてきました。

ところが、2015年にコリスチン耐性をもつ細菌が世界中に広がっていることが判明し、その耐性菌発生の原因が、中国と欧州における豚の生育強化を目的とした大量のコリスチンの使用であることが明らかになりました(*30)。

厚生労働省より、2013年時点で耐性菌による死者は世界で年に70万人を超えていることが明らかになっています。また、この事態を放置すれば、2050年には死者が年1,000万人に上るという推計もあります(*31)。

このように、家畜のみならず人体にも害を及ぼし得る抗生物質の側面を考慮すると、抗生物質が持つ潜在リスクにも注意を払いながら有機肥料を使用する必要があります。

1.2. 中毒を引き起こす病原体

また、動物性肥料の適切な発酵と使用量についても問題視されています。有機肥料の1種である動物性肥料には家畜の糞尿や残飯が挙げられますが、それらには食中毒を引き起こすサルモネラやO157などの菌が稀に含まれます。

これらは数か月ほど発酵させることで殺菌が可能となる一方、発酵が不十分であった場合、肥料に病原菌が残る危険性があります(*32)。

動物性肥料に関しては、食中毒を引き起こすリスクにも注意を払い、製造や使用にあたっては適切な処理を施すことが必要不可欠です。

2.生産性の低下

2つ目は生産性の低下です。単位面積あたりの収穫量(収量)を比較し、25種類の作物を比較したところ、全体の平均で、有機農業の収量は慣行農業の80%となることが明らかになりました(*33)。

収量が2割減るということは、すなわち慣行農業と同量の収量を確保するためには、1.25倍の農地が必要となるということです(*34)。

世界の農地は限られており、新たな農地開拓は自然破壊にもつながります。したがって、有機農業の実践に際しては、収量の少なさという弱みをカバーできるような工夫を凝らす必要があります。

3.入手困難性

農林水産省によれば、有機肥料の公定規格は42規格設定されており、有機肥料の種類は豊富です。しかしながら、国内での生産量は限られていることが現状です(*35)。

有機肥料で最も多く使用されるナタネ油かすは、家畜の繁殖に有害な成分が含まれていたために飼料とはならず、従来は肥料に使われていました。しかし、昨今有害な成分が削減されたナタネが育種されるようになり、次第に飼料用として用いられるようになり、肥料としてのナタネの供給は減少しつつあります。

更に、原料となるナタネはほぼ全量が輸入品で、骨粉などを多量に輸入していることからも、有機肥料の輸入依存度は高いことが伺えます。

このように、有機肥料は供給量に制限があるだけでなく、他の用途との競合のために高額となっています(*36)。

以上のように有機肥料を様々な観点から検討すると、有機肥料は生物多様性や人体の健康などへの影響の観点で化学肥料よりもよい選択肢であると評価できる一方、使用方法次第ではリスクを抱えています。

有機・化学という分類からも、生物由来の素材から作られる有機肥料の方が化学肥料に対して良いイメージを抱かれがちですが、先述のように有機肥料の使用にもいくつか懸念すべき点があります。

そのため、持続的な農業の実践の文脈においても、単なる有機農業の実践に留まらず、本農法のデメリットを補完できるような農業の在り方を模索していく必要があることが伺えます。

持続可能な農業に向けた新たな取り組み

そこで、こうした有機農業にまつわる複雑性を踏まえ、昨今では有機農業の実践に留まらない新たな取り組みが展開されています。本記事では以下に2点、ご紹介いたします。

有機肥料と化学肥料の併用

使用削減が推進されている化学肥料は、栄養がすぐに植物に届くため、効果が短期間に出る即効性の点において有機肥料よりも優位です。

そのため、肥料は「有機か化学か」と二者択一的に選択するのではなく、元肥(植え付け前に土に混合する肥料)には有機肥料、追肥(生育途中で与える肥料)には化学肥料を使うなど、それぞれの特徴を踏まえた上で使い分けることで、より効率的な肥料の活用が可能になります(*37)。

新技術の導入:有機質資源の無機化

また、昨今では有機質資源の無機化という技術が開発されています。2012年に、食品残渣や畜産廃棄物などの有機質資源から、無機肥料を製造する新技術が開発されました。

本技術の最大の長所は、微生物の力を借りて有機物を迅速分解して無機肥料を作り出すため、肥料製造時にエネルギーを必要としない点です。

先に述べたように、通常化学肥料は製造時に大量のエネルギーを必要とであるため、大量な化石燃料を燃焼する必要があります。それに対し、本技術では肥料製造時にエネルギーを必要としないため、結果CO2排出量を大きく抑えることができます。

その他にも、保管に場所を取る畜産廃棄物等の有機質資源を、速効性の観点から優位とされている無機肥料に変換することで、それらの保管コストを削減でき、また輸出も容易な形態で行うことができます(*38)。

このように、今日の農業では、有機農業という選択の他に、既存のものと昨今台頭してきたもの両者の長所を生かした併用や新技術の開発といった、より良い農業形態を模索する試みもあります。これらの諸技術の進歩は、今後の農業形態の更なる多様化を示唆しているのではないでしょうか。

これまで見てきたように、有機農業はGHGの観点において議論の的となっているのみならず、他の様々な観点からも、更なる問題点や新たなポテンシャルが見出されることが分かります。

農業における環境への影響を検討する際、GHGといった1つの指標のみを一部の生産プロセスだけで評価するのでは不十分であり、いずれの農業形態においても、様々な環境指数やインパクトを包括した検討が必要となります。

有機農業の評価におけるLCAの有用性

そこで、ある製品・サービスがもたらす環境への影響を検討する上で有用とされるのが、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment)(以下「LCA」)と呼ばれる、環境影響評価手法です。LCAとは、原材料の調達から製造、加工、流通、販売、廃棄にわたる製品のライフサイクル全体における環境負荷を定量的に評価する手法です。

LCAでは、一製品のライフスタイルにおける各ステップをモデル化することで、生産にかかる資源やその過程で発生する廃棄物、排出物の重量を推測し、LCA独自の影響領域の指標から環境負荷を算出することが可能となります。(※LCAについては、弊社の過去の記事をご参照ください。)

今日における国際的な食品のサステナビリティ評価は、生産過程のみならず、前後の過程を含むライフサイクル全体の環境への影響を主要な評価指標としています。製品の環境影響を多様な観点から数値化・表示することは、株主・取引先・消費者といった様々なステークホルダーの幅広い関心に合致し、ブランディングの推進に貢献します。

しかしながら、LCAでは、製品やサービスごとに多数のデータベースを組み合わせた分析が必要とされます。また、LCAの実施には高いコストや時間、複雑なデータ抽出などの課題も存在します。

当社のシステム「Myエコものさし」は、特に食と農の分野における利用可能データの整備や分析パターンの標準化を進めており、高効率にLCAを実施し、 GHGや生物多様性関連指標など様々なサステナビリティ指標を商品単位で分析評価しております。また、それらのデータや分析評価結果を指標化し発信する機能もあり、株主・取引先・消費者といった様々なステークホルダーを巻き込むための効果的なサステナビリティ関連データ活用をご支援しています。。自社製品が科学的・定量的な評価を受けることで、自社の製品の食と農の市場全体における環境の文脈での位置付けを客観的に把握し、市場に対し効果的な発信が可能となります。

是非「Myエコものさし」にご興味を抱かれた企業様は、クオンクロップまでお気軽にお問い合わせください。

クオンクロップESG グローバルトレンド調査部

(*1) https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h19/html/hj07010301.html

(*2) https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h19/html/hj07010301.html

(*3) https://www.jccca.org/download/66920

(*4) https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/7/7-2/qa_7-2-j.html

(*5) https://www.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/term_ghg.html

(*6) https://eur-lex.europa.eu/resource.html?uri=%20cellar:ea0f9f73-9ab2-11ea-9d2d-01aa75ed71a1.0001.02/DOC_1&format=PDF

(*7)https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11892030_po_1162.pdf?contentNo=1

(*8) https://taberutokurasuto.com/columns/agriculture/19020808079/

(*9) https://www.sciencedirect.com/topics/agricultural-and-biological-sciences/conventional-farming

(*10) https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/vegetea/028228.html

(*11) https://www.asahi.com/sdgs/article/14828572#h307sldtj9wvt1g1jji2197swui1j7k2pq

(*12) https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/pdf/suisin_280401_part1.pdf

(*13) https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/

(*14) https://www.maff.go.jp/j/kanbo/yuryo_jirei/pdf/28jirei_zentai.pdf

(*15) https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/

(*16) https://www.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/term_ghg.html

(*17) https://www.natureasia.com/ja-jp/ncomms

(*18) https://www.nature.com/articles/s41467-019-12622-7

(*19) https://www.cranfield.ac.uk/press/news-2019/organic-farming-could-increase-greenhouse-gas-emissions

(*20) https://orgprints.org/id/eprint/42265/1/OWC2020-SCI-1111.pdf

(*21) https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/kongotaihi_manual.pdf

(*22) https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/kongotaihi_manual.pdf

(*23) https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/narc/2005/narc05-49.html

(*24) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-005.html

(*25) https://www.nature.com/articles/s41558-021-01062-1.epdf?sharing_token=nC-wVMmDSKHrVP6yFQA6BdRgN0jAjWel9jnR3ZoTv0NdGO4foWsVErgKV-Y8OuMA7xd3ul2V8M4z9i1ROM6Bukgc_OP07Ro8H-ysw2h2H6Lh-ro-nsimQ93do6STBtIaijkh3D0lZcC1-wU6kvoLIh5iWpvIGkKCsq8aDEMR4Jk%3D

(*26) https://ideasforgood.jp/issue/biodiversity/#03

(*27) https://orgprints.org/id/eprint/20247/1/1548-biodiversity.pdf

(*28) https://www.cdc.gov/antibiotic-use/q-a.html

(*29) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14657094/#:~:text=The%20use%20of%20antibiotics%20in%20food%20animals%20selects%20for%20bacteria,human%20and%20to%20animal%20health.

(*30) https://wired.jp/2020/01/28/farm-animals-are-the-next-big-antibiotic-resistance-threat/

(*31) https://www.asahi.com/sp/articles/ASLCB0CLYLC9ULBJ018.html

(*32) https://jimovege-works.jp/column/organic-farming

(*33) https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0308521X1100182X

(*34) https://www.nature.com/articles/nature.2012.10519

(*35) https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/attach/pdf/index-12.pdf

(*36) http://www.jaf.gr.jp/faq.html#Q6

(*37) https://www.naro.go.jp/project/results/research_prize/files/2009prize1.pdf

(*38) https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/vegetea/028228.html

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